AgentCore CLI で Managed Knowledge Base を構築するときの5つの制約
- AgentCore CLIでManaged Knowledge Baseを作る場合、S3バケットの事前作成やGatewayTargetの別途作成など、事前準備が複数ステップに分かれる
- データソースの自動同期は初回のみ。運用に乗せるにはEventBridgeやS3トリガーなど別途の仕組みが必要
- 埋め込みモデル・パーサー・チャンク戦略はCLIで作成すると固定され、後から変更できない
- 精度が出ない場合、パラメータ調整ではなくKBの作り直しが前提になる
私たちは大手SIerの案件で、Amazon Bedrock AgentCoreのCLIを使ってManaged Knowledge Base(KB)を構築する機会がありました。ドキュメントを一通り確認した上でCLIから実際に手を動かしてみると、GUIやマネージドサービス特有の「見えない制約」がいくつも見つかりました。特に、KBを本番運用に乗せる前提で設計する場合に影響が大きい点を中心にまとめます。
結論から言うと、CLIでの構築は手早く試作するには向いていますが、後から仕様を変えられない部分が多いため、要件を固めてから着手する必要があります。
| 対象サービス | Amazon Bedrock AgentCore |
|---|---|
| 構築手段 | AgentCore CLI |
| 対象機能 | Managed Knowledge Base / GatewayTarget |
①KB作成前にS3バケットを先に作る必要がある
Managed Knowledge Baseを作成する前に、データを格納するS3バケットを先に用意しておく必要があります。CLIがバケットまで自動生成してくれるわけではないため、事前に用意しておく設計が前提です。私たちの案件では、このS3バケットをCDKで管理するようにしました。CLIで都度手作業で作ると削除漏れが発生しやすく、後片付けの観点でもコードで管理しておく方が安全だという判断です。
②KB作成後、GatewayTargetの作成は別ステップ
KB本体を作成した後、GatewayTargetの作成は独立した別のステップとして必要になります。KBを作ればすぐにエージェントから参照できる状態になるわけではなく、この接続部分を明示的に作り込む必要がある点は、構築手順を組む際に見落としやすいポイントです。
③データソースの自動同期は初回のみ
KB作成時にS3のデータソースを指定すると、初回は自動的に同期(インジェスト)が走ります。しかし、その後にS3へファイルを追加・更新しても、自動では再同期されません。同期にはAWSコンソールのSyncボタン、またはAPI経由での手動実行が必要です。
実運用でドキュメントを継続的に更新していく前提であれば、この手動同期をそのままにはできません。EventBridgeやS3トリガーと組み合わせて、ファイル更新をトリガーに同期を自動実行する仕組みを別途組み込む必要があります。
④埋め込みモデルが固定される
CLIで作成する場合、埋め込みモデルはamazon.titan-embed-text-v2に固定されます。また取り込めるデータ形式もtxt・csv・pptxなどのテキスト系に限られ、画像や動画をKBに取り込みたい場合は手動での作成が必要になります。マルチモーダルな資料を扱う想定がある場合は、この制約を事前に確認しておくべきです。
⑤パーサーとチャンク戦略が固定される
パーサーはManaged Parserに固定され、チャンク戦略もデフォルト(最大トークン300・オーバーラップ20%)のまま、CLIからは変更できません。
補足:コンソールから作る場合のIAM権限
関連する事例として、コンソールからKBを作成しようとしたところpermission errorが発生したケースがありました。原因は、Amazon BedrockがIAMのサービスロールを作成できる権限がアカウント側に設定されていなかったことです。CLIとコンソールのどちらで構築するにせよ、事前にこの権限まわりを確認しておくとスムーズです。
まとめ
AgentCore CLIによるManaged Knowledge Base構築は、手順自体はシンプルですが、①S3バケットの事前準備、②GatewayTargetの別作成、③手動同期を前提とした運用設計、④埋め込みモデル・データ形式の制約、⑤パーサー・チャンク戦略の固定、という5つの制約を踏まえて要件を固めてから着手することをおすすめします。特に④⑤は後戻りのコストが大きいため、精度要件が厳しい案件では、CLIでの簡易構築より前に、これらの制約が許容できるかを見極める価値があります。
※ 本記事の検証は2026年7月時点のものです。
Bedrock AgentCoreをはじめとするエージェント基盤の設計・構築を、要件定義から運用設計まで一貫してご支援します。